2021.03.16

『都美人』さんの酒蔵へ行ってきました。

special issue

淡路島の南部「南あわじ市」に

昔からある都美人酒造さん。

山廃仕込みのこだわりのお酒は

どれも美味しく日本酒好きを虜にしています。

そんな都美人さんの日本酒。

どのように作られているのか実際にみてみたい!

ということで、

ダン編集部が都美人さんの酒蔵に

お邪魔してきました。

 

 

都美人さんの歴史とこだわり

 

昭和20年、もとは島の南部にあった

10軒の酒造が志を一つに合併。

合併当初は「淡路酒造」という名だったのが

創業当初に存在したお酒の銘柄から

一番響きのよい都美人が社名として採用され

今の『都美人酒造』が誕生したそう。

兵庫県は酒造りに適した美味しいお米

(山田錦、兵庫夢錦、五百万石など)

の生産が盛んで、

日本酒の三割は兵庫県で作られています。

恵みの米と諭鶴羽山の伏流水、蔵人達の思いが

都美人の美味しいお酒の原料。

また製法にもこだわりを持ち

創業以来の山廃仕込みを守り続けています。

※山廃仕込みとは・・・

空気中や蔵内天然乳酸を使用し雑菌の増殖を抑制、

低温でじっくりと育てる酒母製造方法。

一般的な人工培養の酒母を使う「速醸酒母」と

比べてとても手間がかかるが

旨みがつまった飲みごたえのある味わいとなる。

 

日本酒ができるまで

 

まず、日本酒造りはお米ができる10月から始まり

4月まで続きます。

その間、杜氏さんや蔵人さんは住み込みで、

早朝の5時からお酒造りにとりかかります。

今回、酒造りの数ある工程の中から

一部の工程をご紹介します。

 

精米

 

まずはお米を精米するところから

日本酒造りはスタートします。

普段わたし達が食べるお米は

玄米の状態から10%精米した状態の

白米を食べていますが

日本酒造りに使用するお米は

もっと磨き上げた状態のお米を使用します。

取材に行った日に使われていたお米は

酒造好適米の山田錦。

精米歩合55%。

なんと45%もお米を削ります。

それだけでもう贅沢です。

 

磨かれて、白く小さい酒米に!

 

お米の水分量を測る杜氏さん。

お米によって水分量が変わるので

繊細な日本酒造りにとって

この作業もとても大切。

 

洗米・浸漬(しんせき)

 

その日の天候、気温、水温など

様々な条件によって

浸漬に必要な時間は精緻に異なるそう。

毎日同品質のお酒を造るために

水分、温度管理がとても大切なのだとか。

杜氏さんがストップウォッチを使い

秒単位で浸漬時間を調節します。

秒を刻む杜氏さんの声と

蔵人の見事な連携作業で

どんどん白米が浸漬されていきます。

 

麹造り

 

蒸されたお米はさらし場へと運ばれ

冷気中にさらされます。

その蒸米を使い室温40度の麹室の中で

温度と湿度を調整しながら麹を育てます。

 

 

麹室(こうじむろ)に広げられているお米で

室内はいい香りに包まれていました。

この香りは「栗香」と呼ばれているのだとか。

確かに焼き栗のような香り。

 

 

よーくみると

お米にコウジカビが付着していました。

出麹前になると出てくる栗香は

良い麹になるサインだそうです。

 

 

温かい部屋から寒い部屋へ。

菌の増殖を抑えるために冷まします。

この部屋も、とってもいい香り。

「美味しそうな香りですね~」とお話していると

味見をさせていただけることになりました♪

芯の残る噛みごたえのあるお米は

噛めば噛むほど甘い。

しかも、美容にもいいと聞いたので

残さずにキレイにいただきました。

 

櫂入れ(かいいれ)

 

タンクに仕込んだもろみを

毎朝5時から櫂棒(かいぼう)でかき混ぜる作業。

早朝の澄んだ空気を含み

美味しいお酒に

ゆっくりゆっくりとなっていきます。

 

 

ぷくぷく泡立ち、新酒のいい香り~。

 

天秤搾り

 

 

全国的に数件といわれる『天秤搾り』が

2001年に復活。

「天秤搾り」とは

テコの原理を応用して

酒袋を加圧する昔ながらの手法で

柱に差した長さ7.5メートルの大きな棒の先に

約1tの石をぶら下げ

木製の酒槽に入った袋入りのもろみを

押して酒を搾ります。

一部の銘柄はこの手法で搾られており

手間はかかりますがその味わいは深く

至極と呼ぶにふさわしいお酒になります。

 

実際に呑んでみました

 

 

様々な工程を見せていただいてからの試飲には

感慨深いものがありました。

手作業も多く出来上がるまでに

たくさんの工程が必要な日本酒造り。

作業の一つ一つがとても大事で

杜氏さん蔵人さんの思いがいっぱい詰まった

お酒はどれもとても美味しかったです。

 

 

 

都美人さんのおすすめのお酒をご紹介

 

 

純米吟醸 暁の都美人

 

 

五百万石を使用したキレのよい

すっきりとした辛口のお酒。

呑みやすいから、日本酒初心者の方におすすめ。

キリッと冷やして飲むのがおすすめ。

 

大吟醸 凛美

 

 

酒米の最高峰、兵庫県産の山田錦を

40%まで精米し

厳寒期に少量ずつ低温発酵で仕込んだ名酒。

深く、上品な味わい。

 

純米吟醸 若宮の雫

 

 

合鴨農法で作られている

五色鮎原のお米を使用しています。

天秤搾りの手法で造られ、濃厚な味わい。

本気の飲んべえにおすすめしたい!

※数に限りがあり酒蔵での販売のみ

 

春だけの限定日本酒

しぼりたて 薄にごり

 

 

火入れをせずに、

しぼったまんまのお酒を

そのまま瓶詰めしています。

うっすらと白くオリの入ったお酒で、

生原酒のフレッシュな味わいを愉しみたい方におすすめです。

 

純米吟醸 彩さくら

 

 

春の訪れとともに咲き誇る桜をモチーフとして

ほのかな吟醸香と米の旨みが漂う

キレのよい原酒です。

お花見のお供にぴったり。

 

 

日本酒ベースのカクテルもあるよ。

淡路島なるとオレンジ酒

 

 

香りの強い鳴門オレンジを果皮まですりつぶし

ペーストにすることで

特有の香りとほろ苦さを感じられる

お酒になっています。

スッキリとした味わいで

日本酒が苦手な方でも飲みやすいお酒です。

 

ラベルを読み解く

日本酒の酒瓶に書いてある精米歩合や

日本酒度について教えてもらいました。

 

精米歩合(せいまいぶあい)

 

精米歩合とは、精米後の白米の割合。

お米は周りを削って中心になるほど

香りが高くなります。

 

普通酒      規定なし(73~75%)

純米酒      規定なし

本醸造酒     70%以下

特別本醸造酒  60%以下

(純米)吟醸酒       60%以下

(純米)大吟醸       50%以下

 

精米歩合が低いほど

スッキリ綺麗な味わいでフルーティー。

精米歩合が高い方は

どっしり芳醇な味わいで炊きたてのご飯のような

香ばしい香り。

 

日本酒度

甘口、辛口の分類に用いられているのが日本酒度。

+と-で数値を表記し

+の数字が高いほど糖分が少ない辛口

-が高いほど甘口とされ

一般にこの日本酒度の数値が

甘辛度の目安とされている。

ただ、あくまで目安。

飲み方や食べ合わせなどによっても

感じ方は変わるそう。

 

 

 

取材ご協力ありがとうございました!

今回、取材に応じてくださったのは

都美人酒造広報室長の武内さん。

チャーミングな笑顔と軽快なトークを交えながら

酒造りについて教えていただきました。

 

 

 

都美人酒造株式会社

南あわじ市榎列西川247

TEL0799-42-0360

https://www.miyakobijin.co.jp/

 

 

ダン編集部

この記事を書いた人

ダン編集部

淡路島の地元情報誌ダンの編集部です。


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