淡路島の南に浮かぶ小さな島「沼島」。
水面が光り、港で船がゆったりと休み、
昔からその地にある神社が町を見守る…
ひっそりと佇む路地さえあたたかい。
目的があってもなくてもいい。
何もない週末、ほんの少しだけ足をのばし
沼島ショートトリップ
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沼島へ行く前に…
みんなで守ろうぬしマナー
その1:公共のゴミ箱の設置がないので、ゴミは持ち帰ろう。
その2:山歩きをする場合は、水分や軽食などを街中で調達、もしくは持参しよう。
その3:公共のトイレが少ないので場所は事前に把握しておこう。
(沼島ターミナルセンター・沼島総合センター・おのころ公園の3か所のみ)
その4:往復の船の時間は、事前にチェックしておこう。
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AM10:30
車をのんびりと走らせ土生港へ。沼島に行くために開かれた港には、ちらちらと観光客であろう人々の姿が。いよいよ乗船。普段船に乗る機会があまりない身としては、これだけでも心トキメク。船旅はあっという間の10分間。
AM10:40
本日の旅のはじまりは、事前に予約していた「沼島おのころクルーズ」から。船着き場には観光ガイドの小野山さんがクルーズ案内人として待ってくれていた。
沼島は勾玉のような形をしていて、島の周り(約10キロ)を右回りするのが「女まわり」、左から回ることを「男まわり」という。クルーズでは目玉となる様々な奇岩が映えて見える「女まわり」で案内してくれる。なるほど、岩も角度が大切だ。
AM10:50
説明を聞きつつ船着き場へ。どの漁船に乗るかはその時々によって異なる。
今回お世話になった林さんの船では、奥様が吹きこんだ観光ガイドをBGMに船旅を楽しめ、訛り交じりの語りにほっこりとする。伝えてくれる歴史や岩についての解説も面白い。林さんご夫婦と小野山さんとハイチーズ。うん いい写真。
爽やかに風をきりながら希少な岩や、青だったり赤かったりする岩、空をふよふよと漂う鳥たちを眺めていたら1時間のクルーズもあっという間。
今回は林さんの船に乗せてもらったけれど次回はまた違う船かもしれない。この一期一会感もいいよね。林さんありがとうございました。
PM00:00
お昼のサイレンの音が静かな島一体に大きく響く。旅の楽しみの中で大きなウェイトを占める食の時間だ。訪れたのは「あさやま」さん。
今の時期(3月初旬の取材時)は鯛の天ぷらが味わえるらしいので頼むことに。小鉢には沼島で摘まれたひじき。先ほど、小野山さんとの談話中に「新芽のみを摘む沼島のひじきは他で食べるものとは別格」と聞いたばかりだったので、ありつけたのは嬉しい。食感はやわらかく確かに自分の知るひじきとは少し違うのかもしれない。
鯛の天ぷらもほろっとふかふか、さすが漁師さんが営むお店。お昼目的で沼島を訪ねるという手もありだな。とメニューを眺めながら次回の旅に思いを馳せる。
別の日に料理旅館木村屋さんが営む「大平 DAIHE」も訪れた。
好物のタコの天ぷらが乗ったうどんを注文。沼島で獲れたというタコは大きく身も引き締まっておいしかった。
PM13:00
満腹になった後は島内散策。まずは「おのころさん」として島民に親しまれているおのころ神社へ。
木漏れ日が心地よい山道の先に待つ最難関の階段は、一つ一つの段が高く一生懸命に登る。なぜこんなにも高いのかというと、もともとあった階段の上に補修をかけたからだそう。
頂上につき、振り向くとキレイな景観が広がっていた。これを見るだけでも登ったかいがある。参拝し少し休ませてもらい下山。
次に上立神岩へ。
道中とても気迫感を感じるイノシシ注意のポスターを見かけた。後ほど聞いた話だが、遅い時間に沼島の山道を歩くのは危険らしい。まだ昼下がりで本当によかった。
息を荒げつつ、せっせと歩き到着。
目の前の絶景は写真では得ることのできない感動をもたらしてくれる。心地よい波の音もさっきまでの静けさと対比していい。
しばらく眺め再び町へ。
散策中、外観がピンク色なのに「みどりや」という不思議な店をみつけ、好奇心で覗きに行くと衣料・雑貨のお店だった。中ではヴィヴィットな外観とは異なる朗らかそうな店主とお客さんが楽しそうに談話をしていた。いいな。
お店の佇まいに惹かれて立ち寄った魚谷米穀店さん。
創業130年をこえる店には昔懐かしい黒電話が現役で使われ、タイムスリップしたかのような雰囲気に包まれていた。
魚谷米穀店のおかあさん。こちらの店では昔ながらのあずきの量り売りも。
沼島にある唯一の県道の先にある八幡神社。境内までの階段は、神門から下が男坂42段、神門から上は女坂33段になっている。よいしょよいしょと登り参拝させてもらった。参拝ついでにおみくじも。
今していることを精一杯頑張りなさいというようなニュアンスの言葉が書いてあり、近頃フワフワそわそわしていた私の身にはとても染みわたった。感謝!
まだまだ楽しい沼島散策岩を削った?階段発見。
タコつぼ?
だんじり納屋が顔みたい。
気になる町中看板たち。
PM15:00
そろそろ歩き疲れたのと、のどが渇いたので喫茶タイムへ。訪れたのは沼島唯一のカフェ「吉甚バッタリ・カフェ」さん。
注文したのはイザナミフロート。イザナミをモチーフにしたフロートは甘いだけでなく刺激的,エピソードと共に飲む楽しさも旅ならでは。
予定していた帰路の時間が近づいてきたので船着き場へ。またすぐに行けるこの距離だから名残惜しい気持ちも次への楽しみと捉えられる。そんな気負わず愉しめるショートトリップの目的地として沼島はちょうどいい。これから島は春祭りや鱧漁解禁など最も活気づくシーズンへと突入する。
PM15:40
淡路島へむけて出港。ばいばい沼島、また来るね。
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島でみつけたいろいろ
自動車はあまり見ないけど、手押し車はたくさんある沼島。キレイな縦列駐車に思わずパシャリ。
島内唯一の食料品店。飲み物やアイスなどはこちらで買うのがおすすめ。
たまにお母さんのお手製総菜がお店に並ぶこともあるそう。出会えたらラッキー⁉
こちらは壁掛け収納ができるベンチ。昔からの民家の壁でみかけることができる。
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今回周った
観光スポット
上立神岩
沼島の人々からは「かみたてさん」という愛称で親しまれている大きな奇岩。ハート型のようなくぼみがあり、最近では夫婦円満・恋愛成就のパワースポットとしても有名。
穴口
高さ80mの「屏風岩」でウミウの越冬地。古事記神話にある黄泉への入り口のモデルともいわれている。
鞘型褶曲(サヤガタシュウキョク)
1億年前の地球のシワに例えられる世界でもとても珍しい形の岩。こちらの岩石は沼島ターミナルセンター内にて実際に触ることも。
弁財天
境内の周囲は沼島の岩石を使用した立派な石垣が。主な沼島の岩石は、こちらをみればほぼ知ることができる。
おのころ神社
もともと山自体が御神体で、国生み神話に登場するイザナギ・イザナミの2神を祀っている。
小耳に挟んだ観光小話
全島が結晶片岩類でできているから観光名所に岩が多いそう。また、漁業を生業としていたことから海から眺める場所に伝説が残るらしい。
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今回立ち寄ったお店info
島内マップは船乗り場にあるよ
交通
たったの10分だけど旅の心を整える大事な船時間
沼島汽船
土生港のりば 南あわじ市灘土生1-10
TEL.0799-57-0008
料金:大人往復920円 小人460円
駐車料金別途500円
時刻表等は↓
http://nushima-yoshijin.jp/go_kisen
買う・遊ぶ・食べる
国生み神話や沼島の昔話のモチーフとなる奇岩をめぐる
沼島おのころクルーズ
TEL.050-3187-5040
料金は大人3,000円~
※要事前予約
※料金は変動あり、詳しくは問合せ時に確認
島の魅力や歴史を知りたい方におすすめガイド
沼島紹介おの山(店舗名に吹き出しでレンタサイクルもしてるよ)
TEL.090-5042-8314
気まぐれでお母さんのお手製惣菜の販売も
橋本商店(食料品・日用品・ドリンクなど販売)
TEL.0799-57-0026
営業時間:7:30~19:30
ぬしマダムのファッショントレンドはここから
みどりや衣料品店(衣料品・雑貨小物販売)
創業130年のレトロかわいいお米屋さん
魚谷米穀店(お米・タバコ・塩などを販売)
TEL.0799-57-0022
営業時間:7:00~19:00
漁師さんの営む食事処で沼島の旬を食む
あさやま(宿泊・食事)
TEL.0799-57-0920
営業時間:11:30~14:00
定休日:火曜日
旅館の味わいを日帰りでも愉しめる
大平【料理旅館木村屋】(宿泊・食事・お土産)
TEL.0799-57-0010
営業時間:11:30~14:00(L.O.13:30)
info:7~8月はランチ営業を休業している場合あり、要問合せ
http://www.nushima-kimuraya.com/
国生み神話にちなんだメニューが楽しい
吉甚 バッタリ・カフェ(カフェ・お土産の販売の他、観光マップ等も)
TEL.0799-53-6665
営業時間:10:30~17:30頃
取材参考・協力
沼島地区あわじ環境未来島構想推進協議会
沼島の皆さんありがとうございました!
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おまけコーナー
ぬしまっぽアート
とび☆コレ
島の所々で目に留まる飛び出し坊や。フォルム度外視のものも多数あり。気になり道行く人に尋ねると「沼島100年計画」の方と島民の皆さんが老朽化したものをきれいに塗り替えたそう。ちなみにイラストは沼島オリジナルキャラクターベスト6に選ばれた子たち+α。ちょっとした町アートとして楽しもう。
ぬしマリン
おのごん
はも店長
はじめちゃん
ぬぼこん
かみたてさん
キャラ名があるのかないのかわからないかわいこちゃんたち
編集後記
対岸の火事だと思っていたコロナがいよいよ国内にも流行りつつある2020年2月ごろ。世間が何とも言えない状況にざわざわし始め、私もどうしたらいいのかもわからないもどかしさと不安を抱えていた時期。ふと、思いつきで訪れたのが初めましての「沼島」来島だった。なにか特別な物がある場所じゃないけど、その空気感と静けさに癒されたのをすごく覚えている。握り飯と水筒持参でただただ山を歩き、町を散策し、休んでまた歩くを自分のペースで満喫した。それから早3年。コロナ騒動もそろそろ終焉、元あった日常へと再び方向転換しなければならない今に、安堵感と嬉しさと共にまた変化が生まれることへの戸惑いを感じ、再び沼島へ行きたい欲が湧き出た。そして、どうせなら沼島の魅力を独り占めせずに発信したいと今回特集で組ませてもらうことに。自分が感じた沼島の魅力を愉しんでもらえたらいいな。
取材・文:ペコ子