2021.03.29

水の大師に立ち寄る

淡路島沿岸愛好会

淡路島の沿岸をめでるこのコーナー。

今回は洲本市中川原町にある「水の大師」を紹介する。

☆☆☆

国道28号を洲本市街から志筑方面に少し走る。

海沿いワインディングロードの途中にある、
うら寂しいバス停。

ここに立ち寄ったことのある人はおそらく稀だろう。

御食事処「水の大師荘」。
幼いころは家族でここに食べに来た記憶がある。
たしか中に大きな水槽があったような。
どんなものを食べたのか、どんな味だったかは覚えていない。

今はみごとな廃墟と化している。

「水の大師荘」の脇から階段が。
ここを上がればお堂がある。
今日はそちらへは行かない。

車が来ないのを見計らって国道を海の方に渡る。
普段こんなところに人はいないので、道行く車はかなりのスピードだ。
くれぐれも気をつけなければ命が危ない。

無事に渡り切った私の眼前には、
波打ち際へ下りるスロープが現れた。

ちなみにガードレールに付いている[41.7]の標識は、キロポストと呼ばれるもの。
数字は国道28号の起点である神戸駅近辺からの距離だ。
余談だがこのキロポスト、100メートルごとにあって、
通常は写真のようにガードレールの上にあるんだけど、
ガードレールがないところなどで
「え、そんなとこにあんの? 反則やろw」
みたいな場所にあったりする。
車の助手席とかで会話もなく暇なときは
これをずっと探している。

さぁ、スロープを下りてみよう。

国道脇にこんな隠し通路みたいなカッコイイ場所があることを、きっと多くの人は知らずにいるままで、鼻歌交じりで呑気に片手運転とかして通り過ぎているのに違いない、ふっふっふ。

という謎の優越感にひたる。

さらに下りる。水面が近づいてくる。
正面の岩肌に四角い枠があるのにお気付きだろうか。

ここにはなんと石仏が彫られている。
四角い木枠は石仏を守るための社だった。

なかなか見事な造形だ。
おそらくこれが「水の大師」さんなのだろう。
今もだれかの手によって大切にされているようだ。

ちなみに、この石仏が彫られている岩体は花崗岩質で、この一帯の海沿いはずっとこんな感じの岩肌が続く。隣の「石ヶ谷」バス停付近は、洲本城(山下の城)に使う石材を採取していたと聞く。良質な花崗岩がある地として昔から知られていたようだ。

帰りにスロープを見上げる。
国道は頭上高くにあり、車の音も遠く聞こえる。
ふだん何気なく車を運転しているだけでは、実はこんな絶壁の上を時速50kmでかっ飛ばしているのだと意識することはない。

地元にいながら非日常感を体験できる、
なかなか味わい深い沿岸スポットである。

……さぁ、次はどこの沿岸を歩こうか……。

まこし

この記事を書いた人

まこし

ダンの紙面デザイン担当。趣味は路上観察と沿岸観察。小さなことに喜びを見いだしつつ、地味に日常を過ごしております。


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