淡路島の沿岸をめでるこのコーナー。
「ダムカード、ゲットだぜ!」と題して
これまでお届けしてきたダム巡りレポート。
今回が最終回となる。
ただでさえ自己満足感の強いこのコーナーにおいて、
このダム企画は輪をかけて独りよがりだったかもと反省している。
だが始めてしまったものは仕方ない。
ともかく最後まで書きすすめるのみだ。
もう少しだけお付き合い願いたい。
〜牛内ダムはおしゃれスポットだった〜
諭鶴羽ダムからルート距離にして約5km。
牛内ダムに到着した。
それにしてもうだるような暑さだ。
うっかり軽装で車外に出ると命の危険を感じるレベル。
時間は正午に近く、太陽は真上から容赦なく照りつける。
日陰が見当たらない。
こんなときだが、バス釣りのアングラーたちは黙してダム湖に糸を垂らしていたりする。
物好きな人もいるものだ……
いや、人のことは言えないな。
ダムの案内図を見る。
右下に「分水トンネル」とあり、
見てみたかったが、
ダム湖奥へとつづく管理用道路は通行止めとなっていた。
残念。
涼をさがしてダムの憩いスペースをうろうろ。
見ると花壇の縁に沿ってベンチが優雅な弧をえがいている。
うむうむ。これはいいものだ。
このダムにも遊び心を感じるぞ。
期待がふくらむ。
天端を歩く。
肌がジリジリ焼けるのを感じる。
ふむ……
手すりとか通路の処理とか、案外そっけない感じだな。
さっきのベンチで手応えを感じたのは、気の所為だったかな。
でもよく見てみると、
管理所の屋根が近代建築っぽいデザインになってたり、
手すりの下には水仙のレリーフが’あったり……むむっ!
このレリーフ、よく見てみると、かなり凝ったものだと気付いた。
花弁や葉の折れてるところが妙に立体的だ。
左の葉も手前に飛び出してくるような演出を施している。
意匠家の心意気がそこはかとなく感じられる。
さらに、管理所の丸窓をみてほしい。
(筆者の影が写り込んでて見苦しいのはご容赦を)
はじめ、結露でもしているのかと思った。
だがこれは、模様だ。
絵になっている!
なんと、牛内ダムの俯瞰図じゃないか!!
手法はよくわからないが、彫りガラスだろうか。
だとしたらかなり手の込んだものだと思う。
中に入って、室内からこの丸窓を見てみたい。
こちらが管理所の正面。
丸く出張ったバルコニーも、そのヘリに取り付けられた少し反った手すりもかわいい。
おそらく建物内もいろいろ遊び心に溢れているに違いない。
管理者の人に頼んで中を見学させてもらいたいものだ。
この日は誰もいなかったので、いつかリベンジしたい。
〜本日最後のダム、大日ダムへ向かう〜
道すがら、チャーミングな飛び出し看板に出会う。
満開の夾竹桃とカーブミラーの取り合わせも良い。
ここはまるで楽園のようだ。
思わず車を降りてシャッターを切った。
〜大日川上流は、土木パラダイスだった〜
いよいよたどり着いた大日ダムは、市民に開かれたスペースといった感じだった。
重力式コンクリートダム。
堤頂高36m、堤頂長247m。
総貯水容量は110万㎡。
先ほど紹介した牛内ダムと「2ダム1事業」のタッグを組む兄弟ダムである。
ダムカード ゲットの目的は、これで達成された。
あとは大日ダムの脇にある管理事務所に行ってダムカードをもらうだけだ。
だが。
小生の本日の旅はまだ終わりじゃない。
大日ダムの先に、目指す場所があった。
ダム湖沿いの管理用道路を山の奥へと進む。
すると前方に少し古めかしいダムが見えてきた。
大日川ダムである。
大日ダムの上流に鎮座している。
こちらはダムカードとは関係なく、見てみたかった場所だ。
つくられたのは1966年とのこと。
その佇まいは、昭和初期の堰堤のような風格がある。
ちなみに大日ダムは1998年に完成。
さあ。旅はここで終わりだろうか。
いや、まだだ。
さらにまだ管理用道路を奥にすすむ。
ここには、まだ見るべき場所があるのだ。
そこが、今日の本当の本当に最後の目的地である。
大日川ダムの奥には美女池という、ある伝説で有名な場所がある。
大蛇が住んでいたとか、池に洞穴があって海につながっているとか。
石で作られたまろやかな堰堤の天端に小さな祠が見える。
たしかにちょっと近づきにくい雰囲気の場所だ。
でもしつこいようだが、ここもまだ最後の目的地ではない。
さらに奥へ……
それにしても大日川上流は、見どころが多すぎるなこりゃ。
美女池の奥に、それはあった。
ようやく、ここが旅の最終目的地だ。
牛内ダムと大日ダムの分水堰である。
「2ダム1事業」を目で見て実感できる場所だ。
ここから牛内ダムと大日ダムに水の流れを分ける施設。
丸みを帯びた堰堤のボリュームがたのもしい。
貯水池を覗く。
左が大日川・大日ダムへとつづく水路。
そして右の赤いゲートの先が、牛内ダムへつづく水路となっている。
こんな山の奥に、
流域住民のくらしを守る大きな施設がある。
そしてそれを日々管理している人たちがいる。
だが今は、夏の厳しい日差しに照らされて、
分水堰は静かに佇むのみだった。
雨が降って水位が上がったときも見てみたいものだが、
豪雨時にこんな山奥まで来るのは危ないかな……。
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大日ダムまで戻ってきた。
ここがダムカードがもらえる大日ダムの管理所だ。
(正式名称は、兵庫県淡路県民局 洲本土木事務所 三原川水系ダム統合管理所)
事前に連絡を入れておいたら、スムーズにダムカードをもらえた。
感無量である。
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余談ではあるが、今回めぐった5つのダムカードスポット以外にも、
洲本土地改良事務所が発行する農業ダムのダムカードも存在するそうだ。
いつかそちらも巡ってみたい。
……さあ、次はどこの沿岸を歩こうか……。