2025.09.05

淡路島で、滝に出合う。~ぜんざの滝編~

special issue

川や水流が急激に落下する自然現象で、直瀑や段瀑、分岐瀑、滑瀑など、それぞれの形状によって分類されます。また、滝は水の流れの一部で必ず水源があり、その水源として河川の上流や、湖や池、雪解け水や雨水、湧き水などがあります。同じ水源から一連となっている滝は、下から一の滝、二の滝、三の滝と呼び、順番に巡ることで自然や水の流れの変化を愉しめます。



なぜ淡路島に滝が多い?

淡路島は『溜め池王国』と呼ばれるほど、たくさんの溜め池があり、その数は日本一と言われています。これらの溜め池や複数のダムが主な水源となることから、高い山や大きな川がないにもかかわらず、多くの滝が存在します。

自然と人との共生から生まれた島の滝

淡路島は雪が少なく降雨量も少ないため、本州や他の地域のように雪解け水や雨水が水源となることはわずかで、代わりに地下から自然に湧き出る「湧水」も重要な水源となります。島の人々は1700年以上も前から、貴重な水を蓄え活かす工夫として溜め池や棚田を築き、特に北部の丘陵地では小さな谷に『谷池』という溜め池を造り、その下に棚田や畑を広げることで、水を最大限に活用してきた。湧水は溜め池に流れ込み、そこから滝として流れでて、棚田や畑を潤しながら栄養を蓄え、川から海へと注ぎます。その水は豊かな海洋環境を育み、漁業にも大きな恩恵をもたらしてきたそうです。このような水の循環と人々の営みが融合して生まれた滝は、淡路島ならではの美しさと深い意味を持ちます。

一般的に公開されていない無名の滝は個人の所有地の場合もあるため、必ず地元の方の案内や専門ガイドに同行してもらいましょう。安全対策をしっかり行い、危険な場所には近寄らず、危険行為は絶対に行わないように心がけましょう。

淡路島ネイチャーガイド&リトリート

スマイル∞リボン

竹谷 富士子さん ムーサ フルさん

観光マップに載っていない淡路島の秘境や絶景を案内するネイチャーガイド。滝だけでなく巨岩や海ホタルショーなど、様々な自然体験を案内してくれます。淡路島の滝を見る場合はお二人にガイドしてもらうのがオススメです!

IG:@awajiisland_retreat

滝ガイドの予約はこちらから↓↓↓

https://awaji-island-retreat.jimdosite.com/

今回、編集部が案内してもらった滝は

場所:淡路市興隆寺

落差15m 美瀑 

水源:板木池

「興隆寺なんて車も通れへんような秘境やで」と体験前に小耳に挟んでしまったものだから、滝以前に興隆寺にまずたどり着けるのか…とドキドキのスタート。怯える気持ちに反してドライブロードはきれいに舗装され、なんなら景色もよく最高。「以前は細く険しい道だったけど、今は整備され、とてもきれいな道になっているんですよ」と富士子さんに教えてもらいました。

滝の前に、寄り道で源流となる『板木池』へ。かつては佐野の人々の水源として重宝されていた池だったけれど、本州からの送水が行われている現在では使われなくなり、今は水鳥などが生息する自然豊かな池として存在します。最近の日照りで水量は少なく見えましたが、この池は底が深いそうで見た目以上にたっぷりの水を蓄えているのだそう。

池を後に、車を駐車すべく移動。訪れたのは、『興隆寺ヴィレッジ Camping Fierd』。興隆寺ヴィレッジとは里山の暮らしが体験できる施設で、キャンプ場やレストランなどがあります。こころよく駐車場を貸してくれた興隆寺ヴィレッジオーナーの藤岡さんとキャンプ場管理人の唯さんにご挨拶をし、いざ山の中へ。

連日の猛暑で本日も漏れなく暑い。たっぷりの水と熱中症対策グッズで満たしたリュックを背負い出発!…早々に木が行く手を阻みます。「ここを超えたら別世界だよ~」と言われ、半信半疑で木をくぐると、木陰に入ったからか涼しく、確かに別世界かも?

沢の中を水の流れに逆らうように少しずつ歩みます。ひんやりとした水が足を撫で、川のせせらぎや虫の声をBGMに歩くのは、気持ちがいい。キノコを見つけたり、アメンボに出くわしたりしながら歩むこと数分。「滝を見ながら歩きたい?それとも、おたのしみにとっておきたい?」と質問され、後者のおたのしみを選択。少し目線を下げて、富士子さんの案内に沿って足を進めます。水の音が増して、すぐそばまで滝を感じるけれど、見上げるのはもう少し我慢!

「見上げていいですよ~」との声に嬉々と顔をあげた。10mを超える高さから勢いよく落ちる水は、怖さを感じるほどの猛々しさというより、スマートなかっこよさがある。せっかくなので滝の下へ行ったが、手を入れることはできても滝行はさすがにできなかった。

しばらく滝を眺め、触れを堪能してからのランチタイム。自分で握った拙いおにぎりがおいしく感じるました。空気が美味しいから?

あれだけ用意周到にもってきた暑さ対策は一切の出番もなく、少し寒いぐらいで、ムーサさんお手製のホットコーヒーがものすごく沁みました。シナモンを足した香りよいコーヒーを片手に足を沢につけて、癒しのひと時。猛暑日の昼下がりとは思えません。

すごく遠いところまで足を運んだ気になっていたけれど駐車場からの距離はわずか15分程度で、帰りは思ったよりも早い帰路でした。そして「ほれ現実や!」と言わんばかりの刺すような暑さで一気に日常に引き戻されました。

ぜんざの滝がある淡路市興隆寺では、次世代につなげる取り組みとして地区全体が里山の暮らしを体験できる複合施設となっています。

興隆寺ヴィレッジ

興隆寺ヴィレッジ Camping Fierd

淡路市興隆寺115-1

駐車場を貸してくれたキャンプ場では、デイキャンプやカフェ利用も。

子ども向けのワークショップもあるからファミリーでの利用も◎

bistro LA Grace

淡路市興隆寺720

TEL.0799-70-5024

定休日:水曜日&平日不定休

とんがり屋根が目を惹くレストラン。「忘日常」をテーマに豊かな自然に囲まれた空間でゆったりと食事を楽しめます。(予約制※ランチ3,850円~)

興隆寺ヴィレッジには、その他にもジビエ化工場や農園付きの住居「クラインガルテン」なども。

この地域の人々から『ぜんざの滝』と呼ばれ親しまれてきた滝。明治26~27年に出版された『淡路国名所図絵』に『何者瀧』と『前之滝』の記載があり、海浜から3.8㎞先に何者瀧、その奥180mに前之滝があったと記されています。前之滝が前サ滝となり、ぜんざの滝と呼ばれるようになったのでは⁉とムーサさんは推測しているそうです。

かつては小学校の校歌として歌われていた?

この滝は、2017年に廃校となった佐野小学校の校歌にも歌われていたという情報を聞き、地元の方に聞いてみると、それぞれの地区の名称が歌詞になった『運動会行進歌』という曲があるということが分かりました。調べてみると、曲の5番にその名を発見!

滝に出合う~島のあの滝、この滝~につづく

取材・文 ペコ子

この記事を書いた人

ダン編集部

淡路島の地元情報誌ダンの編集部です。


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