歴史が残る地を巡り
淡路島の「昔」を紐解く⁉
前回までの調査を通じて野島の海人や銅鐸をもたらした南あわじ市の海の民の活躍を学びました。
また海を使った交易などで古代国家形成期に王権や地方の豪族との繋がりがあったことも判明しました。さらに奈良時代に編成された日本で最も古い歴史書『古事記』冒頭で最初に生まれた島として登場している⁉という話も耳に…
過去記事はこちら↓
ということで第3歩は古事記や日本書紀などに記された淡路島にまつわる伝承にふれながら、それにまつわるスポットを巡ります!
*今回紹介する伝承は調査隊がわかりやすく超訳したものです
*紹介する伝承やスポットは諸説あるうちの一つです
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淡路島の方なら一度は(いや、それ以上に)聞いたことがある有名な夫婦の神様「伊弉諾大神・伊弉冉大神」。この2柱が神の国からおりたつ際に作った「自凝島」もご存じの方が多いはず。淡路島にはその「自凝島」だとされる島(かつて島)がなんと3か所も存在するらしい。皆さんはどこが有力だと思いますか?
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どのスポットもそれぞれ伝承があり候補地として魅力的。
みなさまも実際に巡って検証してみてね!
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沼島
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絵島
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おのころ島神社
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国生みによって生まれた淡路島。島の誕生時に最初に出来たと伝えられている山が存在するらしい…調査を進めるとどうやら洲本市にある淡路富士の愛称で親しまれている「先山」だという噂を聞きつけました。真相を知るべく「先山千光寺」へ!
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ご住職に話を伺うと先山千光寺の縁起に「当山は天地開闢のはじめ、伊弉諾大神、伊弉冉大神の2柱大神が八州を創りしとき、第一に成り出でし山を以て先山と号し、日本最初峰と称す」と記されていると教えてくれました。一番先に出来たとされることから「先山」…なるほど!
階段を登ると現れる本堂へは、こちらの立派な朱色の門をくぐります
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門から見下ろす洲本市内の景色
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文化財にもなっている三重宝塔
境内にある二柱御大神祠
本堂の左隣には伊弉諾大神、伊弉冉大神が祀られた祠があります。自然と相まって神聖な雰囲気に包まれた雰囲気のある祠です。
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千光寺には天照大御神がお隠れになった岩隠れエピソードが残る岩戸神社も。
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先山千光寺
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伊弉諾大神の名がついた兵庫県で唯一の神宮『伊弉諾神宮』。この地にはかつて伊弉諾大神が余生を過ごした住居があったそう。幽宮の跡地には神陵が営まれ、そこに最古の神社として創始されたのが伊弉諾神宮の起源とされています。
夫婦大楠
伊弉諾神宮の境内東側に、樹齢約900年の大楠が。もとは2株であったが成長に伴い1株になったという奇樹で幹は8,5mに及びます。2柱の御神霊が宿る御神木として、夫婦円満・安産子宝・良縁成就の信仰が篤い人気のスポットです。
陽の道しるべ
神宮の境内にある「ひのわかみやと陽の道しるべ」というモニュメントを発見。なんと伊弉諾神宮を中心に東西南北には縁ある神社が配置されているという事が記されていました。神宮の真東には飛鳥藤原京、伊勢神宮があり、春分・秋分には同緯度にある伊勢神宮から太陽が昇り、対馬の海神神社に沈み、夏至には信濃の諏訪大社から出雲大社、冬至には熊野那智大社から高千穂神社へと太陽が運行するそう。夏至・冬至・春分・秋分を知り、遠く離れた地と地を直線で結ぶことがなぜできたのか…古代はまだまだ謎が多くおもしろいですね!
伊弉諾神宮
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この話には続きがあって・・・
この人形操りがのちの「淡路人形浄瑠璃」の起源とされています。早替わりや道具返しなどケレン味(大がかりで派手な演出)を加え、独自の演出で人々を喜ばせる淡路人形浄瑠璃。最盛期には40以上もの人形座があり、全国を巡業していました。昭和30年ごろまでは、淡路島の漁村で行われる漁祭で大漁や航海の安全を祈り「戎舞」が演じられ、現在も国生み伝承に縁のある戎さまが主演を務める「戎舞」は淡路人形座で演じられています。国内だけでなく世界にも活躍の幅を広げ、世界中に「戎さま」の福をもたらしています。
淡路人形座
MEMO
蛭子命を祀る2つの「岩樟神社」
淡路市岩屋にある「岩屋恵比寿神社」の裏には蛭子命を祀る「岩樟神社」があります。こちらの神社には洞窟があり、そこは伊弉諾大神が最初の幽宮だと言われています。また、伊弉諾神宮の夫婦大楠の隣にも岩樟神社が。こちらの神社には平安時代に作られたとされる蛭子命のご神体が祀られています。
調査後記
「くにうみ」という言葉は淡路島に住んでいるとよく耳にしていたけれど、なぜそう言われるのか、その意味について今回の調査で改めて知ることができました。天地開闢の際に本当に最初に出来たかはさておき、日本の数ある地域の中で淡路島が古事記の冒頭に選ばれたという事は歴史書が作られる時代、もしくはそれ以前から淡路島がとても存在があり重要な地域であったのではないか⁉と想像してしまいます。歴史を紐解くというテーマで調査をしているが、知れば知るほど興味深くまだまだ謎も多くワクワクがとまりません。次回はどの歴史を紐解くのか…乞うご期待!
〈取材・記事 ペコ子〉
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