2020.07.17

妄想003:妄想でも失恋するのだ

妄想恋愛研究所

先日の靴屋の兄ちゃんに、久しぶりに会いに行ってみました。

いつもより少しおめかしして、会う前はなんとなくドキドキして、

トイレでもう一度鏡チェック。リップグロスは念入りに。

 

ヨシ、ベストは尽くせている!

 

いざ、店にフェードインしてみると、

彼は別の客と接客中。

タイミングをみはからっていると

女性店員に声をかけられました。

これは想定外!

ホストクラブでもないので指名するわけにもいきません。

 

女性店員は丁寧に靴の説明をはじました。

ひととおり前回レクチャーを受けていたものの

彼がフリーになるまで時間稼ぎをしないといけないので

再度聞いてみました。

 

そのうち、よければ試着してみませんか?と

話になり、試着は別にいいのだ、彼とほんの少しでも話をしたい

笑みをかわしたいだけなのです。

 

彼の方を見てみると

まだまだ接客中で・・・

あの女客もさては、やられた口だな・・・

わかるわよ、彼はオバサンたちの救世主。

ナチュラルに女性ホルモンを活性化させてくれるの。

でも、アンタ、まだまだ若いやんか、

年功序列で私に順番譲りなさいよ。

 

いろんな思いを交錯させながら

買いもしないであろう靴に足を入れてみました。

 

「すごくお似合いですよ。」

 

女店員は屈託ない笑顔を見せます。

ボーイッシュな恰好をしていたので

気づかなかったが

よく見れば、まつ毛も長く、お肌もきれいで

可愛い顔立ちをしています

 

もしかしたら、私のお気に入りの彼と

付き合っているのかもしれません。

アパレルでは、同じ店の店員同士でカップルになることが

珍しくないと聞いたことがあります。

オシャレなベッピンと、オシャレなハンサムがいる職場、

色恋が起こらない方が不自然でしょう。

 

「お客様、いかかですか?」

 

「ぬ、はぁ。」と煮え切らない返事をしていると

 

突然、私の視線を遮る人が。

 

「お似合いですよ。また、来ていただいたんですね。ありがとうございます。」

 

か、彼でした。

 

彼「前買っていただいたブーツ、いかがでしたか?」

私「すごくよかったんですが、着脱がふだんの靴より時間がかかるので・・・

今日は、ふだん使いしやすい靴を見ました。」

彼「フフフ、結構じゃまくさがりなんですね。ゆっくりしていってください。」

 

と言い放ち、また、担当客の元へ

戻っていきました。

 

じゃまくさがり・・・

私に向けて行ってくれたパワーワードが

じゃまくさがり。

 

普通、お客さんに言わない言葉ですよね。

彼がもともと、接客下手とかならわかるんですが

超がつくほど、接客マスターで

なんなら店長です。なのになぜ?

 

俺の女感を疑似体験させてくれているのか。

いや、まさか、そんなことないよな。

 

これ以上、この店で過ごしても

別の女客とイチャイチャしている彼を

ジェラシーいっぱいに見ているだけで

終わりそうなので

消え入りそうな声で

「今日は決められそうにないので

また来ます」と言って、店を後にました。

 

外は雨でした。

傘は持っていたけど、ささずに

街中を徘徊しました。

涙を見られたくないから・・・

ニッチモ・サチ江

この記事を書いた人

ニッチモ・サチ江

淡路島出身、神戸在住。妄想恋愛研究家。 「春が来ようと夏が来ようと、イブ・モンタンの「枯れ葉」が脳内に流れております。誰か、助けて!」


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